更年期障害かな?と思ったら(更年期障害、骨粗鬆症)
更年期障害
更年期障害とは、閉経周辺期に卵巣よりの女性ホルモン(主にエストロゲン)分泌が悪く、もしくは停止するために体内のホルモン環境が変化し、これに体が順応しきれずに様々な症状を呈することを言います。
症状で多いのは、のぼせ、発汗などですがこれらは内科的な疾患(糖尿病、甲状腺疾患など)でも起こることがあり注意が必要です。いままで更年期障害というと症状の方から安易に治療がなされてきた傾向がありましたが、当院では更年期障害の治療はもとより、診断にも重点を置き、血液検査などで他科疾患の可能性を探り、女性ホルモンの入っている注射を打つことで困っている症状が消えるかどうか確認した上で治療にあたります。
治療は、原因からも分かるように女性ホルモン剤を使ったホルモン補充療法(飲み薬、貼り薬、塗り薬と剤型も異なり、薬の種類によっても血中維持ホルモン濃度が異なります)がメインとなりますが、乳がん、子宮体がんや大きい子宮筋腫などのために女性ホルモン剤を使いにくい方や、女性ホルモン剤に対する抵抗感の強い方には漢方薬などで相談しながら治療にあたります。 また、閉経を境に増加する高コレステロール血症、高脂血症や骨粗鬆症に対しても血液検査やDEXA法による骨密度測定を行い生活指導、投薬など総合的に更年期のフォローを行っております。
骨粗鬆症
DEXA法による正確な骨密度測定
閉経周辺期には、卵巣からの女性ホルモンの分泌減少により骨密度が減少しやすくなります。腰椎の骨粗鬆症化により圧迫骨折が起こると身長が縮み、前かがみの姿勢となります。 また、足のつけね(大腿骨頸部)の骨粗鬆症化により大腿骨頸部骨折が起こります。これは、将来の寝たきりを作る主な原因となりますが、骨粗鬆症は骨折を起こすまでは症状が無いのでその発見には骨密度測定が重要です。
骨密度測定の方法には、X線を使い手の平(中手骨)、腕(橈骨)、背中(腰椎)、足の付け根(大腿骨頚部)を測る方法と、超音波を使い踵を測る方法がありますが、最も正確なのは腰椎の骨密度測定(DEXA法)といわれており、日本骨粗鬆症学会の骨粗鬆症の診断基準も この腰椎の骨密度を基準にして作られています。
この測定法は、1%の誤差範囲内で正確に測定でき、X線の被爆も少なく一回の測定で通常の胸部写真の被爆線量の60分の1程度です。(60回連続測定を繰り返すと胸の写真を1枚とったのと同じです)ただし、その測定には大きな機械が必要で以前は大学病院のような大きい病院でないとありませんでした。当クリニックではその機械を導入し、より正確に骨密度を測定することができます。さらに、骨粗鬆症の診断だけではなく、治療の効果を血液検査(骨形成マーカー(新しい骨を作るスピード)、骨吸収マーカー(古い骨を壊すスピード))と共に総合的に判定しています。
当クリニックではDEXA装置を新しい機種に変更しました。それにより、 従来は測定部位によって体位を変更しないといけなかったのが、同じ体位で腰椎、左右の足のつけね(大腿骨頸部)の 測定ができるようになり、患者さんはより楽に検査を受けられるようになりました。1部位の検査に要する時間は 3~6分と従来の約半分の時間ですみます。
測定結果のレポートは以前のものよりわかりやすいものとなり、現在、どの状態(正常、骨量減少症、骨粗鬆症)であるのか、次回はいつ頃検査を受けたらよいのかもわかるような形式となっております。
自分の現在の骨密度を知っておくことは、今後のライフスタイルを考えていく上で非常に有意義なことだと思います。骨密度測定だけでもできますので、ぜひ一度相談にいらしてみてはいかがでしょうか。